ドライブ予備知識

〜もしもクルマが水没したら?水没車からの脱出方法!〜

 近年、地球温暖化などの影響により、大型台風や集中豪雨のような突発的な異常気象が数多く見られます。それに伴いクルマが冠水した道路や増水した河川に転落したり、岸壁などから海中に転落するような水没事故も報道されています。このような事故は、確認不足や思い込みによる判断ミスや操作ミスが主な要因と思われます。このような事故を未然に防ぐには、つねに安全運転を心がけ、日頃からそれに備える術を知っておくことが大切です。
 しかし、万が一、水中に転落しても「クルマはすぐには沈みません」、あわてず落ち着いて行動すれば、自力で脱出することも可能です。そこで、いざという時のためにクルマの挙動とその脱出方法について確認しておきましょう。
 その前にシートベルトの着用は、脱出を可能にする最低条件です。水面などへの転落には大きな衝撃を伴います。その段階で気を失ったり、負傷したりすることがないよう、身体を守るためのシートベルトは必ず着用しておきましょう。

脱出! その I :窓ガラスを開けて脱出する方法

 状況にもよりますが、クルマはすぐには沈みません。まずエンジンの重みで前方を下にしながら斜めに沈む傾向が見られます。水没した際のクルマのドアは水圧で殆んど開かないので転落後は、すぐにパワーウインドが作動するかどうかを確認し、それが可能なら窓ガラスを開け、そこから脱出するようにします。窓枠からの脱出は両手をルーフ(屋根)にかけ、仰向けの姿勢になりながら背中側から抜け出すようにします。こうすれば比較的スムースに脱出が可能となります。
 最近の業界では、水没を感知すると自動的にパワーウインドを開かせるような装置「水没検知パワーウインド」なども研究・開発されているようです。

脱出! その II :側面ガラスを割って脱出する方法

 つぎに、もしも窓ガラスが開かなかったら、窓ガラスを割って脱出するようにします。割ることができるのは、両サイドや後方の「強化ガラス」だけ。フロントガラスは「合わせガラス」なので、ひびが入る程度で割ることができません。またクルマの窓ガラスは、大人がハンマーで叩いてもなかなか割れないほどのものです。そのために窓ガラス専用の「レスキューハンマー」を常備して置くことが求められます。
 レスキューハンマーさえあれば窓ガラスの隅をほんの少しの力で叩くだけで簡単・確実に割ることができます。割るためには窓ガラスが水面上にあるうちに割ることが大切です。水面下まで沈んでしまってからでは、割れた窓ガラスの破片が車内に急激に流れ込むので返って危険です。このようなパニック状態で窓ガラスを確実に割ることができるのは、レスキューハンマーだけと考えておきましょう。そのためにはレスキューハンマーは暗闇の中でも確実に手の届くところに固定しておくことも肝心です。
 さらに転落の衝撃やクルマが傾くとシートベルトはオートロックされる構造になっています。レスキューハンマーは、転落によるショックなどでシートベルトが緩まない場合にもシートベルトを切断することができるカッター機能も備えられています。

脱出! その III :浸水を待ってドアを開けて脱出する方法

 窓からも脱出できない最悪のケースに残された最後の手段。胸か首のあたりまで浸水し、車内と外との水圧差がなくなるのを待って、息を大きく吸い込んでから、思い切りよく一気にドアを押し開けて脱出するようにします。この際もあらかじめドアロック解除とシートベルト解除を忘れないことと、水中ではほとんど視界がきかなくなることも忘れずに。
 最後に、台風や大雨の際、水溜りなどを勢いよく走るクルマをよく見かけますが、濁った水面下では道路状況が読めません。水没や事故の危険性のみならず、ブレーキが利かなくなったり、電子制御システムや配線系統にもトラブルを来たし、後日、思わぬ出費に繋がる恐れもあります。最終的には、「君子危うきに近寄らず」の精神で他人の走りに惑わされず、自分の安全は自分で護るようにしましょう。